本製品は開発依頼先様から販売しています。

扉開閉監視システムとは?

本製品は、トラックなどの荷台扉の開閉状態を常時監視し、扉が開いたままエンジン始動した場合に運転席へ警報を送る監視システムです。

運転席に設置する警報器と、荷台扉の開閉状態を監視するセンサーは無線で連携し、配線工事は不要です。取付の容易性や既存車両への後付けに対応しています。

背景・課題

トラックの荷台扉の閉め忘れは、走行中の積荷落下や後続車との衝突といった重大な事故リスクに直結します。こうしたヒューマンエラーは現場でしばしば発生しており、ドライバー自身だけでなく、周囲の車両や歩行者にも大きな危険を及ぼす可能性があります。

しかし、市場にはこの問題を未然に防ぐための実用的な製品があまり存在しておらず、現場はドライバーの注意喚起や教育に依存せざるを得ず、根本的な解決に至っていないのが実情でした。

このような課題を解決すべく、荷台扉の開閉状態を常時センシングし、開扉状態での発進を未然に防ぐ商品の開発に着手しました。

依頼主車両用部品メーカー
分野・用途物流・輸送業界、荷台扉の閉め忘れ防止
技術的アプローチデュアルモード通信制御(送信と受信の切替)、
車載電源インタフェース

要求仕様・制約条件

センサーの長時間動作開閉状態の常時監視を行いながら、1年以上の電池駆動を実現すること
安定通信車両の大きさに関わらず、センサーと警報器間で安定した通信を実現すること
-30℃低温動作保証冷凍車に対応する為、厳しい低温環境でも長期・安定動作を行うこと

当社のアプローチ

デュアルモード通信

本開発では、荷台扉の開閉状態を検知するセンサーが、1台で「扉の常時監視による送信」と「エンジン始動検出のための受信」を両立させる必要がありました。さらに長時間電池駆動を可能にするため、スリープ処理を組み合わせた複雑な動作ロジックが求められました。

これを実現するため、まずセンサーと警報機の間で「送受信タイミングの約束」を明確に定義し、それぞれの機器に合わせたタイムチャートに従った制御プログラムを作成しました。
具体的にはセンサーが一定間隔でスリープから復帰して受信モード(スキャンモード)に入り、再びスリープに戻るサイクルを繰り返す一方で、警報器はセンサーの受信モードと重なる期間にエンジン始動の信号を送信するフローを設計しました。

このような1対の機器の動作フローを綿密に設計することで、デュアルモード通信を維持しながら電池駆動で1年以上の長期稼働を可能にしました。

安定通信

センサーはトラックの荷台扉に、警報器は運転席に設置されるため、両者の間には金属製の荷台が遮蔽物として存在し、無線通信が妨げられる環境条件にありました。
このため、まず安定した無線リンクを確保することが課題に上げられました。アプローチとして、実際の車両を用いた検証を行い、開扉時に生じるわずかな隙間を通じて通信が成立することを確認し、これをベースに本番設計ではさらに通信安定性を高めるため、送信周期・送信回数・受信スキャン時間といった通信パラメーターを再検討しました。

結果として、車両サイズや荷台構造に依存せず、実運用環境でも確実に警報が届く安定した無線通信を実現しました。

低温環境動作

冷凍庫に搭載されるセンサーには、-30℃の極低温環境下でも安定動作することが求められました。ところが、通常環境を想定したセンサーをそのまま冷凍車に設置した場合に、使用する電池の種類によって寿命が著しく低下し、実運用に耐えないことが判明しました。

この課題を解決する為、まず電池の種類を再検討するとともに筐体を防水ケースに改良した再設計タイミングで部品選定も見直しました。
特に低温環境では、無線送信時における電池電圧が残容量の指標として機能しにくいため、常温で使用する電圧閾値をそのまま適用せず、低温専用のモニタ閾値を新たに設定。さらに、その閾値を下回った後にどの程度、継続動作が可能かについても詳細に検討しました。

開発の総括

本開発では、トラックの荷台扉の閉め忘れによる事故や積荷落下を防ぐための、センサーと警報器を組み合わせた無線監視システムの開発に取り組みました。

開発に当たっては、1台の機器で送受信を繰り返しながら長時間動作を実現する「デュアルモード通信」、金属荷台という厳しい遮蔽環境でも確実に信号を届ける「安定通信」、そして冷凍車で求められる-30℃環境での「低温動作保証」といった複数の技術的課題がありました。

これらの課題に対して、送受信タイミングを綿密に設計したタイムチャートフロー、実車検証を踏まえた無線パラメータの最適化、電池種別や閾値設定を見直した低温対応設計といった工夫を積み重ね、最終的に実運用に耐える安定性と長期稼働を実現しました。

これらの知見は物流車両に限らず、「無線が届きにくい環境での安定通信」や「極端な温度条件下での低消費電力駆動」といった幅広い応用に対応することができます。

無線内蔵回帰反射型レーザー

回帰反射型レーザーに無線機能を搭載し、検出結果をワイヤレス伝送できる小型センサーユニット。

高所安全帯フック監視システム

高所作業員の高さ位置と、安全帯フックの使用状況をクラウドと連携して端末モニタリングするIoT安全補助システム。

測域センサー

専用アプリで2D LiDARの監視範囲を設定し、ワイヤレスによる外部機器との連携を実現するエリア監視センサー。

ロードセルモニタ

市販のロードセル信号を高分解能で増幅・計測し、BLEや外部I/Fで出力する小型計測器モニタユニット。

移動禁止表示灯

作業中の列車に取付、移動禁止であることを周囲に明示する鉄道業界に特化した表示灯。