
BLE内蔵回帰反射型レーザー
本製品は当社から販売しております。
overview
BLE内蔵回帰反射型レーザーとは?
本製品は、回帰反射方式のレーザーセンサーに、BLE無線通信機能を内蔵したセンサーユニットです。
レーザー光に反射板を利用することで、片側設置で安定した長距離検知が可能となり、さらに検知結果をBLEで送信することで、配線に制約されない柔軟な設置を実現しました。
物流現場や工場設備においては、設置場所の制約や配線工事のコスト削減などを理由に可搬性の高いセンサーが求められます。本製品はこうした要望に応えるべく開発したレーザーセンサーであり、既存技術にIoT的な付加価値を与える新しいアプローチとなっています。


background
背景・課題
従来の回帰反射型レーザーセンサーは、片側設置で長距離検知が可能という特長を持ちながら、外部機器との接続は有線に限定されていました。そのため、配線工事に伴うコストや設置場所の制約が大きく、柔軟なレイアウト変更や追加設置が難しいという課題がありました。
一方で、IoT化が進む現場では、検知した情報を配線レスで取り込みたいというニーズが高まっています。こうした背景から、従来のセンサー機能に無線通信を加えた一体のユニットを新たな選択肢として提供する為、本開発に取り組みました。
profile
依頼主 | 自社主体開発 |
分野・用途 | 物流・FA・セキュリティ、通過検知、開閉監視、侵入検知 |
技術的アプローチ | レーザー光学設計、通信設計、小型モジュール設計、 環境耐性設計 |
Requirements
要求仕様・制約条件
送受信光学設計 | 反射板との往復光を安定して受光するための光学設計 |
小型モジュール化 | レーザー送受信部とBLEモジュールを小型筐体に収納する省スペース設計 |
積分・フィルタリング | 環境ノイズや外乱光の影響を遮断する積分・フィルタリング処理 |
Our approach
当社のアプローチ
光学設計
レーザー送信光を反射板で折り返し、戻り光を効率よく受光するためには、集光レンズと光センサーの位置合わせが極めて重要です。
特にレンズと受光センサーの間のギャップは数百umの差で受光強度が大きく変化するため、最適距離を導き出すまでに筐体構造を繰り返し検討・試作する必要がありました。
さらに使用する反射板の種類によっても受信強度に大きな差が生じることがわかり、最大値を得られる反射板を選定するために数多くの検証を行いました。
それらの結果から、レーザー出力クラス1の安全基準内での送信強度において、検出距離15mまでの屋外使用に耐える性能を実現しました。
また光学設計では量産部品の製造誤差の範囲内であっても、性能バラつきが出る可能性があり、大変シビアな組立精度が求められます。そのため、筐体設計や組立治具構造を見直し、製造工程においても安定した光学性能が得られるように工夫しました。


積分・フィルタリング
レーザー光の遮断判定精度を高める為、受光信号を単純にON/OFF処理するのではなく、デジタル処理による積分・フィルタリングを組み込んだ設計を行いました。具体的には以下の工夫により検出精度を高めました。
◆ レーザー光を一定パルスで送信
(発熱の抑制とレーザー素子の長寿命化にも寄与)
◆ 受信処理において、送信タイミングにあわせて検出窓を開き、積分計算で
光量を確保(このロジックにより瞬間的な外乱光の影響を低減)
◆ 一定のウェイトを入れてセンサー値を読み取り、再度積分を開始する
サイクルを構築(反射光強度の差を判断できるロジックを形成)
このような処理サイクルをベースに、プラスαとして平均化やデジタルフィルタリングを組み合わせ、屋外環境の外乱光下においても安定した検出が可能となりました。
またこのロジックをモジュール化することで、用途に応じて判定精度を容易にカスタマイズできる柔軟な設計フローの構築を実現しました。
achievement
開発の総括
本開発によって、回帰反射型レーザーセンサーにBLE通信を内蔵するなど、従来の有線接続に依存しない柔軟な運用を可能にしました。
開発過程では、光学設計におけるノウハウ構築や、積分・フィルタリングなどのデジタル処理技術の確率など、多方面にわたる技術的蓄積を行い、その結果、屋外の外乱光環境下においても安定した検出を実現しました。
これらの成果によって、レーザーセンサーとしての基本性能を高めると同時に、BLEによる無線通信機能を加えた新たなユニットとしての価値を生み出すことができました。
この仕様をベースとして応用展開することが可能であり、たとえばレーザーによる通過カウンターや、検出データを無線でクラウドやモバイル端末に連携させるモニタリングシステムなど、現場ニーズに合わせたプラスαの付加価値提供も提供できます。