
ロードセルモニタ
本製品を案件ごとにカスタムしてご提供いたします。
overview
ロードセルモニタとは?
市販のロードセルを本製品に接続し、微小信号の増幅・計測値のデジタル表示・閾値設定による外部機器との連携を1台で実現するユニットです。
従来はアンプ・制御装置・出力装置などの研究用の機器が必要でしたが、それらを一体化することでシンプルな構成を可能にしました。さらにBLEによる無線連携にも対応し、PoCや試作段階での迅速な検証を支援します。
案件ごとのカスタマイズに柔軟対応し、様々なロードセル応用開発の切り口としてご使用いただけます。


background
背景・課題
ロードセルのように「力を電気信号に変換するセンサー」は幅広い分野で活用可能であり、市販品も数多く存在します。しかし、それらを実際に使用するには「微小信号を扱う高性能アンプ」、「信号処理用の制御装置」、「数値を確認する表示装置」、「外部機器との通信装置」などの機材と設定が必要になります。そのため、まずはPoCで試してみたいと考える開発現場にとっては、コストや準備の負担が大きく、導入のハードルとなっていました。
このような状況から、PoCや試作段階における導入障壁を下げる装置を提供したいとの思いで本製品の開発を進めました。
案件に合わせた市販のロードセルを接続し、内部調整を加えることでユーザーは短期間で環境を整え、即座に評価・検証を始めることができます。
profile
依頼主 | 自社主体開発 |
分野・用途 | ロードセルを使用したPoCに対応 |
技術的アプローチ | 計装アンプ設計、高分解能ADC、BLE通信、 低雑音直流電源設計 |
Requirements
要求仕様・制約条件
計装アンプ品質 | ロードセルの微小信号を高いCMRRと安定して増幅する回路 |
ローノイズ電源設計 | 計装アンプ回路とADC回路の低リップル・低雑音の直流電源回路 |
高分解能ADC | 16bit以上の高分解能A/D変換技術 |
外部通信機能 | BLEや接点信号出力で外部機器と連携する機能 |
再現性 | 同じ条件下において、常に同じ測定結果が得られる装置性能 |
Our approach
当社のアプローチ
入力回路設計
ロードセル信号を入力とする回路において、S/N比が小さいと正確なセンシングが出来ず、計測器としての機能を満たせない為、微小な差動信号をいかに高品質に増幅できるかが重要でした。
また、微小信号を扱う回路は温度変化の影響も受けやすく、再現性を欠く結果につながる為、これらのノイズを適切に除去し、高品質に増幅するためには低雑音かつ安定した直流電源設計も不可欠です。
これらの問題点を考慮し、信号ラインのレイアウト、グランド分割の最適化、低オフセット・高CMRRの計装アンプの選定など、アナログ技術の経験則と設計ノウハウを駆使しました。それにより、高S/N比と再現性にフォーカスした入力回路を実現しました。


高分解能ADC
前段の計装アンプで増幅した信号を、後段のADCで正しくデジタル化するために高分解能かつ低ノイズ特性のADCが不可欠です。また、分解能が不足すると微小変化を読み取れず、一方で分解能を上げるほどノイズの影響を受けやすくなるなど、トレードオフの問題もあります。
本設計ではADC分解能を上げる為に、低リップルの電源設計およびファームウェアでサンプリングとフィルタ処理のケアで実行分解能を確保するなど、試作を繰り返しながら分解能と安定性の両立を実現する工夫を行いました。
外部通信機能
計測装置に外部通信機能を実装することで実用性を高めることができます。本開発ではBLEによる通信機能と、接点信号による有線インタフェースを搭載しました。
BLEは省電力でありながら汎用性があり、スマートフォンなどの端末連携も可能なことから工場内の無線ネットワークや主変機器とのビーコン通信などに利用できます。これにより、設置場所を選ばず柔軟にデータ収集や通知を行える環境を提供します。


再現性
計測器において最も重要なファクターが「再現性」です。
ロードセルからの微小信号を増幅・処理する回路は、温度変化や電源ノイズ、周囲環境の影響を受けやすく再現性を確保するにはアナログ回路設計・電源設計・基板レイアウト・ファームウェア処理など多方面での最適化が必要でした。
再現性を妨げる要因を一つずつ洗い出し、解決していくことで安定した測定が可能なシステムが構築でき、PoC(概念実証)段階で充分な再現性を実現しました。
achievement
開発の総括
本開発ではロードセルが出力する微小信号を正確かつ安定して扱うために、入力回路・電源設計・高分解能ADC・外部通信・再現性といった複数の要素で技術的な挑戦がありました。
数十uVというシビアな信号を高いS/N比で再現性良く扱うには苦労が伴いましたが、アナログ回路・レイアウト修正、ローノイズ電源設計、デジタル処理と総合的なノイズ低減設計を調整することで再現性と安定性を確保しました。
本開発は当社がもつアナログ技術・デジタル技術を融合させることで計測器開発に必要な基盤技術を総合的に発揮した事例となります。